ミニマリストとは
ものと情報が溢れかえっている現代においては、逆に「ものを持たない生活」の方が贅沢になったりします。
部屋の中のいらないものをあえて捨てるという生活スタイルとして「断捨離」が推奨されるようになったのは2010年頃で、その年にはユーキャンの流行語大賞にもノミネートされました。
その後もシンプルな生活スタイルを送る人を「ミニマリスト」と呼ぶようになっています。生活をしていくときにはできるだけ室内に物をおかないようにする、ということが今も重要なスタイルとして広く伝えられているのです。自分が生活をしていく時に、お気に入りのものや好きなものに囲まれて暮らしたいと思う人も多いことでしょう。ですがたくさんのものにぎっしりと囲まれて生活をしているということは、その空間にいるだけでたくさんのものを無意識に目の中に入れ、記憶に留めることになってしまいます。
好きなものを記憶するのだからよいだろうと思うところですが、多くの情報が常に目の中に入ってくるということは、それだけ思考にノイズが入りやすくなってしまうことになるのです。
「ミニマリスト」として生活をしていく時には、ものがないことで生活自体が困難になってしまっては意味がありませんので、より効率的な家具・日用品を用いていくことになります。そうした「本当に必要なもの」を厳選して選んでいく習慣をつけることにより、毎日の思考においても自然に必要なこととそうでないことを区別することができるようになるでしょう。
とくに最近は、極力無駄を省いて機能的な設計に仕立てた注文住宅や賃貸住宅も増加傾向にありますが、ミニマリストを志す人にはおすすめの住まいと言えるでしょう。逆に、デザイナーズマンションのような多機能、高機能を売りにした住まいは、シンプルさを追求するミニマリストの方には不向きです。
富裕層に多い理由
高度成長期からバブル期にかけての経済的に豊かな時代では、ものをたくさん持っている人ほどよい生活をしているという価値観がありました。
しかし現代では、富裕層になるほど余計なものを室内におかず、質素な生活をしている傾向があります。日本よりも先んじて「ミニマリスト」という思想が流行したのはアメリカやヨーロッパのセレブ層で、世界的な富豪とされている人たちも、自宅では質素な生活をしているということが広く伝えられました。
なぜ富裕層の方がミニマリスト的な暮らしを選ぶか、ということを説明するのに最もわかりやすい例が、スティーブ・ジョブズの服装です。スティーブ・ジョブズは常に黒のタートルネックとジーンズを着用して表舞台に出ていましたが、それは一日のうちで行う判断の数を減らすためにしていたと伝えられています。
先にも説明をしたように、情報過多の時代においては、ただ普通に生活をしているだけでも私達はたくさんの判断を一日のうちにしていかなければいけません。そこでミニマリストとして自宅で生活する時には、その情報を意識してシャットダウンすることにより、自分が本当に考えなくてはいけないことに集中することを心がけていきます。
富裕層として生活をしている人は、経営者や芸術家など一日のうちで考えるべきことや決断すべきことが、一般の人よりもさらに多くなっています。ですので富裕層であるからこそ、ものの少ない生活であるミニマリストとしてのスタイルをとっているのだ、ということが言えます。
逆に貧困状態にある人ほど、ゴミ屋敷のような余計なものに囲まれた生活を送ってしまいがちです。それも同じ理由で、自分が考えなければならないことがわからないからこそ、取捨選択ができずにそのような生活になってしまっている、という風に考えられるでしょう。これから気分を新たに生活を向上させていきたいなら、まず自分にとって本当に何が必要か考えてみてください。