家族葬とは
葬儀は、冠婚葬祭の中でも特に宗教色の強い、非常にフォーマルな行事です。
しかし時代の変化によりその方法も移り変わって来ており、特に近年では葬儀そのものを縮小して行う「小さな葬儀」が増加する傾向にあります。
家族や近い親族のみで行う小規模の葬儀方法自体は以前よりありましたが、その場合「密葬」という言葉が用いられてきました。
ただし「密葬」というのは社葬などの大規模な葬儀を行う場合に、それとは別に親しい人のみで故人を送り出そうという意味で行われてきたものです。
近年増加している小規模な葬儀は「家族葬」と言われており、こちらは別に大きな葬儀は行わず、最初から少人数だけで静かに行うという方法をとっています。
家族葬を取り扱う葬儀会社も増加してきており、一般葬とは違った独自のサービスを付加しているというところも多く見られるようになりました。
メリット・デメリット
家族葬の最大のメリットは、費用が安いということです。
一般的な葬儀の場合、式全てを行うのに必要な平均費用は約200万円とされています。
しかし少人数で小さな斎場で行う家族葬では、業者や地域によって違いはあるものの、だいたい50~100万円くらいで済ませることが可能です。
家族葬という葬儀方法に明確な定義があるわけではないのですが、一般的には30人未満が参列する式のことを言います。
そんな家族葬にもデメリットがあります。
まずデメリットとして挙げられるのが「参列を希望する人が参列させてもらえない」ということでしょう。
家族葬にする場合は、葬儀の連絡は参列をお願いする親族にのみ先に伝え、近所の人や友人、同僚などには葬儀が終わったあとに事後報告という形で伝えます。
そのため生前に親しくしてきた人や、かつてお世話になったという後輩などが葬儀で最後のお別れができないということがあるのです。
都内などの都心部では比較的家族葬も抵抗感なく行われていますが、まだ地方都市では保守的な葬儀方法が一般的な場合もありますので、親族から理解を得られないケースもあるようです。
家族葬の流れ
家族葬を行う場合の手配は、一般的な葬儀方法とそれほど変わりはありません。
あらかじめ家族葬を希望している場合、まず近隣で取扱がある葬儀社に依頼をして見積もりをとってもらいましょう。
そこで金額やサービスに納得がいったら契約をし、あとはその葬儀社に遺体の運搬や斎場の手配などをお願いしていくことになります。
葬儀業界はここ数年非常に競争が激化しており、家族葬は人気が高いことから、かなり細かいサービスまで行ってくれることも珍しくありません。
家族が亡くなった時には最初に親族で集まって誰を喪主や施主(葬儀を取り仕切るリーダー)にするかを決定して、そこからどの葬儀社にお願いするかを考えていきます。
終活として生前のうちから葬儀の手配をしておく人も増加しており、そうした時には「生前相談」を受付してくれる業者を選ぶようにしましょう。
「生前相談」では、希望の葬儀をする場合の見積もりを取るとともに、どういった場所でどのような演出の葬儀にするかといったことまでを決めておくことができます。
生前に予約をしておくことで亡くなってから葬儀社を探す手間が大きく省け、遺族の精神的負担も軽くなるでしょう。
家族葬の場合は周囲の理解も重要になりますので、できれば元気なうちに相談だけでもしておくようにしてもらいたいです。